11回目は”季節来遊魚”です!
季節来遊魚(きせつらいゆうぎょ)とは、以前は”死滅回遊魚(しめつかいゆうぎょ)”と呼ばれていた魚たちのことです。
特に決められた種がいるわけではなく、初夏~秋の終わりくらいにかけて南からの黒潮に乗ってやってくる魚全般を指します。
年によって流れてくる魚が異なり、夏になるたびに「今年は何が見れるかなぁ~?」なんて少し楽しみにもなったりします。
ここ、石巻・女川地域でも普段生息していない南方の魚を見ることができます。
全部は難しいので、何種類か見ていきたいと思います…!
東北の海というと、あまりカラフルな魚がいない、どちらかというとおいしそうな魚がメイン、というイメージですが、水温が暖かい夏~秋の間は水中の色もいつもよりもっと賑やかになります。
まずこちらは比較的毎年やってきます”ソラスズメダイ”。
南の方では群れていますが、こちらで見られるのは多くても一緒にいるのは2匹くらいです。かなりシャイなので、すぐに隙間に隠れてしまいます。
”ソラ”ではないですが、普通の”スズメダイ”もいます。これは関東からでも普通に見られますが、こちらの海には通常はいません。
これも毎年見られます。”(ミナミ)ハコフグの幼魚”です。
小さいころだと”ハコフグ”と”ミナミハコフグ”は区別がつきづらいです。
ミナミハコフグの水玉もようは黒目の大きさと同じくらい、ハコフグの水玉もようの大きさは黒目より小さいかバラバラのようです。
あくまでこちらに流れてくるのは”幼魚(こども)”で、大きくなることはほとんどありません。
というのは、もともと暖かい場所にすむ生き物のため、季節が変わって水温が低くなると死んでしまうからです。
それが、この記事の最初で出てきた”死滅回遊魚”の由来でもあります。”死滅”という響きがあまりよくないですけどね(´・ω・`)
次が”チョウチョウウオ(系の魚)”です。
チョウチョウウオと言っても、色々な種類がいます。
私が今まで宮城の海で見たことがあるチョウチョウウオのなかまは、
チョウチョウウオ、トゲチョウチョウウオ、フウライチョウチョウウオ、ハタタテダイ、シラコダイ…といったところでしょうか。
そしてこれが”コブダイ(幼魚)”。
小さいときはまだかわいらしいのですが、大きくなると、
おでこが出っ張ってきます。
上の画像のように小さなときはみーんなメスです。
からだが大きくなった個体のみ、オスに性転換するふしぎな魚です。
こちらは”キンギョハナダイ”
名前のとおり、キンギョのような色かたちをしています。
こちらの海ではめったにみかけません。
私も今年初めて宮城の海で見ることができました。関東以南には割とたくさんいます。
季節来遊魚は、台風が多い年は特に多くなります。
これは、台風は気圧が低いために海水面が上空に向けて引き寄せられ、その盛り上がった部分とともに魚が移動してくるという話です。
ただし、南からの潮の流れは、南→北の一方通行のため、一度こちらの海にやってきてしまうと元いた場所へは戻ることはできません。
そのため、前述のように成長することなく消えて行ってしまうのですね……。
毎年暖かくなってくると水中をにぎわせてくれる季節来遊魚たち。
陸上と同じように水中にも四季があって、その時々で見れる魚が違ったり、景色が違ったりと変化がみられます。
時期によって旬の魚が違うのも、そういった変化があるからですね。
毎年、水温が下がりにくかったり、またはなかなか上がらなかったりということも増えてきたように思いますが、いつまでも生態系が保たれていくことを願っています。
さて、次回で一旦最終回を迎えます。近日中にアップ予定です!
引き続きどうぞお付き合いくださいm(__)m