インタビュー01

代表 高橋正祥
  • 石巻海さくら代表理事
  • 宮城ダイビングサービス High Bridge 代表
  • プロダイバー

高橋正祥MASAYOSHI TAKAHASHI

文 / 鈴木陽子 写真 / 高橋正祥 平井慶佑

目指すは、宮城の海の魅力を伝えるプロフェッショナル

石巻海さくら代表の高橋正祥さん。座右の銘は「有言実行」。やると言ったら必ずやる。
そのまっすぐな気持ちといつも楽しそうな笑顔に、周りは惹き寄せられる。ダイビングの技術を活かして海中の行方不明者捜索活動に参加していた震災直後から六年が経とうとしている現在まで、変わり続ける海と共に生きてきた彼は、今どんな事を考えているのだろうか。

※水中の瓦礫撤去は、漁師さんを始め地元の人たちの協力のおかげで続けることが出来ている。

自分がやらなければ

「震災と時の海の中は、家があったり車があったり、信じられないような状態でした。子どもの頃から自分を育ててくれた海が日常じゃない姿に変わってしまったのを目の当たりにした当時の気持ちはショックを通り越してましたね。」そんな状態の海に潜る度に、「このままじゃダメなんじゃないか」という思いが強くなって言ったというまささん。その時の捜索チームに宮城の人がいなかったこともあって、「自分がやらなきゃいけない」と強く感じた。

有限実行。行方不明者捜索の傍ら、海岸と海中の瓦礫撤去活動を始めた。
最初の頃は任意団体としてスタートした石巻海さくらを正式に団体として登記したのは2014年11月。
「それまでは、陸で活動する支援団体と海で活動する支援団体の接点ってほとんどなかったんです。だから海の中のことって、ダイバーしか知らなくて、そうじゃなくて、もっといろんな人を巻き込もうって思いました。」

※水中で絡まる漁具などの瓦礫。震災から6年が経とうとしているが、未だ海の中にはこのような場所が点在している。

震災直後の海と今の海

震災直後の海の中は、重油などが混ざった真っ黒い土の様なものがあり、匂いも酷かったと話す高橋さん。海から引き上げて来る瓦礫も、同じ匂いがした。生物が生きていけるような環境ではなかったそうだ。

「その頃と比べると、今は瓦礫がだいぶ少なくなりましたね。魚は戻って来ているし、産卵も増えてきました!でもまだ、手がつけられていない場所の方が多いし、今でも台風などで海が荒れた後はたくさんのゴミが打ち上げられます。震災関連のゴミもそうじゃない物も。最近はプラスチックのゴミが目立つ様になっていますね。ゴミを出しているのは人間です。プラスチック製品の生産量は今後も増加していくことが予想される中で、ビーチクリーンや、ゴミを捨てない啓蒙活動をこれからも十年二十年と継続していくことが必要だと感じます。」とこちらの目をまっすぐ見据えてそう話す。

そんな背景から、宮城の海には二百種類以上の生き物が生息し、世界三代漁場と呼ばれている。それらを全部網羅して図鑑に載せたいのだそうだ。「石巻の人でも、地元の海のことって実は知っているようで知らないんですよね。だから、図鑑を作って宮城の人たちの海に対する関心とか知識を上げたいんです。地元の海のことならよく知ってるよ!って宮城県民みんなが胸を張れるくらい。」

※左:ブサ可愛いアイドル「フサキンボ」
右上:卵を守るマダコのメス 右下:卵を守るクチバシカジカのオス 左上:季節来遊魚のシラコダイ 左下:北の海に住むハナヤナギウミウシ

見て楽しい。食べて美味しい海

高橋さんの話は、止まらない。「沖縄の海って誰でも憧れるじゃないですか。でも僕は宮城の海も負けてないと思ってます。確かに透明度は沖縄の方が上ですが、住んでいる生き物は宮城の海の方が断然面白い。だって、熱帯魚てきれいだけど食べることはあまりないじゃないですか。でも宮城の海は、普段自分たちが食べている魚が目の前を泳いでいるんですよ。それに牡蠣が海水を吸ったり吐いたりしているところとか、ホヤの口が開いているところなんて普段はなかなか見れないし、牡蠣の養殖棚にはいろんな海藻や海綿体や小魚、そしてそれを狙うスズキ、黒鯛なんかも居て、海の中の生態系が垣間見えます。宮城の海は、見て楽しい、食べて美味しい海なんです。そういうことをどんどん発信していくことで「宮城の海に行きたい!」って思ってもらいたい。被災地だからとか関係なく、すごくいい海なので。」

目標は、「この海だったらこの人に任せればいい」と言ってもらえるくらい、宮城の海のプロフェッショナルになることだ。最近は、海のことに詳しい漁師さんからも「海の中どうなってる?」と聞かれるようになって来たが、「もっとレベルアップしなければ」と志は高い。

※ホタテの養殖棚

豊かな海を守るために

こんな話もしてくれた。「【海中四季】っていうのがあるの知ってますか?新緑の春はわかめ、暑い夏は真っ赤なホヤ、秋鮭がカナダの海から自分達が生まれた宮城の川へ白鮭が溯上する姿は生命の力強さを感じるし、冬の宮城の海は生物達の産卵など沢山の感動的なシーンが見られます。」

※地元小学校の子ども達にシュノーケリング教室を開催。

「そんな豊かな海を守っていくためにも、ビーチクリーンだけじゃなくて、ごみを捨てない教育もしていく必要があると思っています。十年前くらいまでは学校の授業でゴミ拾いの時間があったっていう話をよく聞くけど、今は、海は危ないから近づいちゃいけないって教える学校も多いらしくて。海の仕事を生業としている人たちからは、子どもたちにもっと海に触れてもらって、好きになって貰いたいっていう声があるんですよ。それをサポートしたいなって。大人ももちろんですけど、これからを狙っていく子ども達の意識を変えたいんです。

「海が好きだから、パパ、ゴミ捨てたらダメだよ!」って子どもに言われたらさすがに大人も捨てられないじゃないですが(笑)ちなみに、海のゴミって、内陸から出たゴミが、川から海にたくさん流れ込んでて、海の近くに住む人だけの問題じゃないんですよね。内陸の子ども達も含めて、海と触れ合う機会を作ること。そして、ゴミを捨てるのは格好悪いことだ。と言う意識がしっかり根付けば、捨てる人は絶対減りますから。」

宮城の海への想いをたっぷり語ってくれた高橋さん。最後に、今一番お気に入りの魚を聞いた。

「ダンゴウウオとかも可愛いですけど、最近は「フサギンボ」がブサ可愛くてお気に入りですね。本当はダイビングの時は生き物にあんまり触っちゃダメなんですけど、魚が自分で泳いで来て手に乗ったりするんですよ!面白いでしょ?こういうことを、これからもどんどん発信していきたいですね。」

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